義母と一緒にビスケットを焼いた。
というのも、むかーーーしむかし、結婚前に夫が義母手作りのクリスマスビスケットを日本に持ってきてくれて、日本の家族が「何これ!美味しすぎる!何これ!」て夫がドンピキするほど食べまくってたのを思い出し、というか今でも時々催促されるので、「日本の家族にビスケット焼きたいからレシピ教えて。」て頼んだら一緒に焼いてくれることになったのである。
ちなみに義母は東ドイツの出身である。が、「西ドイツ産」て書かれた計量カップを愛用している。東西ドイツが統一されてよかったね、ほんと。
彼女のレシピ本は古すぎていにしえの古文書みたいになってた。「何このビンテージ???」て本を指差して聞いたら、義母は笑いすぎてむせてた。義母は慣れた手つきで説明しながら、何でも適当でいいのよって言うけど、「それはあなたがお菓子や料理の達人だからであって、初心者には適当もくそもない。初心者きっちり行ってくれないと困る。」って言ったら爆笑してた。
大体いにしえのレシピ本に書いてあるオーブンの温度の幅もアホみたいに広い。175度から195度って書いてあって、そもそもオーブン自体が170度位から200度前後しか使わないのに、ほぼ全部じゃん?って私が言ったら、義母が笑い死にそうになってた。
2人で料理をしながら、夫の話や夫の妹の話や子供の話、彼女にとっては孫の話で盛り上がった。やっぱ遺伝子すごいよねって話と、親の教育でどうにかなる範囲って結構限られてるよねって言う話とか。
まー、びっくりするほど遺伝子の力が強力で、娘は私に瓜二つだし、息子は夫に瓜二つ。夫は義父に瓜二つ。もはや遺伝子検査とか不要なレベルで性質が似てる。将来どうなるかしらね、とかなんやかや、夫や義妹たちの子供のころの話で盛り上がったり。
「息子(私の夫)は昔から一切勉強しないのに、常に満点、常にフルスコア。ただし語学勉強だけは壊滅的で常に英語の先生にため息つかれてた。今英語で仕事してるのが信じられない。」て言ってた。一方でベルリンにいる義妹には「あの子は常に努力家で、一生懸命机に向かって健気なほど頑張ってた。が、いいスコアは取れたためしがない。」て言うもんだから、「義妹っていつも努力の方向がとんでもない方向にいってない?今もフードビジネスしてるけど、私、義妹がじゃがいもも茹でられなくて叫んでる場面とか、意味不明な蒸留されたニンジンエキスを錬成してる場面しか覚えてないんだけど。」て呟いたら「それは私も常々不思議に思ってる。」て義母が言ってた、笑。「でもあの子は経営側に回ってるからマネジメントがメインなのよ。」てフォローしてたけど、「そうは言っても、マネジメントの才能も皆無じゃない?彼女の才能は美や芸術を追求することであって、マネジメントじゃなくね?マネジメントってむしろ私の得意分野じゃん。」て話したら「それもそうなんだよねぇ。」て苦笑いしてた。容赦のない嫁は私。
夫が今海外出張中なんだけど、「学会のある場所と、滞在のホテルがすごく離れてて、バスで30分もかかるらしいよ。」って言う話もした。そしたら、「なんでそんな不便なところにホテルを取ったのかしら、誰がホテルを取ったの?」って義母が不思議がってて「学会の主催者が抑えたらしいですよ。」って言ったの。「でも、学会の主催者って事は研究者ってことだから、みんな夫みたいにぼーっとしてるタイプの人で、アドミンの仕事は苦手なはずだから、そういう人たちがホテルを抑えると、こういう不便なところになっちゃうんじゃないですか。本当はアドミンの仕事に彼らの奥さんを雇えばいいのにね。みんなしっかりしてるんだから。でも研究職ってアドミンの仕事にかけられる予算ってすごく抑えられてるから、研究者の誰が1人がホテルを抑えることになって、こんなポンコツな結果になったんじゃないですかね。」って答えたら、義母がまた笑いすぎてむせてた。
義母も「絶対奥さんたちを雇えばいいのよ。そしたら1発で解決よ。」で笑ってた。
最初に、予想外の子供の教育方針のことで義両親に長々と相談してて、1時間以上話し込んだあと3時間ぶっ通しでお菓子をやられたから、2人ともくたくた。
義母に「嫁ちゃんもお昼ご飯食べてく?」って聞かれたけど「やだ、やめてくださいよ。私、極東から来た外国人ですよ?あなたドイツ人でしょう?こんなお互いくたびれた後に、外国人とご飯食べるなんて疲れすぎるでしょ。だって別に自分だけなら適当に残りもんでいいんだからさぁ。私も家に帰って適当に残るものを食べるし、あなたも残り物食べたらいいと思う。」て言ったら、ニヤリと笑って、「そうしましょ。」って言われた。。
我々はけっこうウマがあうのである。これくらい気楽な関係性がいいよね。
おしまい。
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